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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2022-08-29

島崎藤村:椰子の実 / 歌:ヒュ(Hue)


古い日本の歌をとても魅力的なハーモニーを聴かせてくれるデュオ "Hue" の歌で「椰子の実」。
藤村の詩をほぼ100年前の初稿の仮名遣いで掲げます。そして今となっては難しい国語表現を逐一辞書を引いて解読しました。それを忘れてまた辞書を引くことのないよう (注) に記しました。



椰子の実
 
名も知らぬ遠き島より
流れ寄る椰子の實一つ

故郷ふるさとの岸を離れて
なれはそも波に幾月

もとの樹は生ひや茂れる
枝はなほ影をやなせる

われもまた渚を枕
孤身ひとりみの浮寢の旅ぞ

海の日の沈むを見れば
たぎり落つ異郷の涙

思ひやる八重の汐々しほじほ
いづれの日にか國に歸らむ

 
島崎藤村 1927 『藤村詩抄』 岩波文庫


注)そも = 〔接続〕そもそも, いったいぜんたい
注)舊(もと) = 旧, 元の状態
注)…や (生ひや/影をや) =〔係助〕文末の活用語に係り疑問を表す… (茂って/成して)いるのだろうか?
注)なせる = なせ〔なす・サ行四段・連体〕+る〔助動・下二・終止・可能〕…することができる
注)浮寢 = 落ち着かず不安な思いで寝ること = 憂き寝
注)激る = 激しく沸き立つかのように気持ちが昂ぶること
注)思ひやる = 〔他動・ラ行四段・連体〕はるかに思う
注)八重の汐々 = 多くの島や海
注)歸らむ = 歸ら〔帰る・自動・ラ行四段・未然〕+む〔助動・四段・未然・意志〕 …帰ろう


参照:学研 全訳古語辞典 改訂第二版 2014 学研 (全訳)
小学館 全文全訳 古語辞典 2004 小学館 (全文)

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    Bravo!!!!!!!!!!!!!!


「椰子の実」
詩:島崎藤村 作曲: 大中寅二
歌 : ヒュ(Hue)
ピアノ:夏川由紀乃


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