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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2019-02-28

「花かげ」作詞:大村主計


今は昔、数ある童謡の中で、この歌には単なる "好き" を超えて大変興味を惹かれていました。
これは、シュールという言葉の実感を味あわせてくれたうた。



私にも姉がいて実際遠方に嫁いだのですが、この歌を聴いてそれを思うということはありません。それが全くないと言ったら嘘になりますが、自分のことでは山ほどの心配事があっても、姉は幸せを手にしたうらやましい存在でしたから、この歌の二番三番の歌詞にあるような感傷とは無縁です。

この歌に興味を惹かれたのは、その一番の歌詞。
これは一言でいえば "シュール"。逆にシュールという語を目にすると、この歌詞を思い出します。

  十五夜お月さま ひとりぼち
  桜吹雪の 花かげに
  花嫁すがたの おねえさま
  くるまにゆられて ゆきました

若い頃から近年に至るまで、この一番の歌詞だけがなぜか頭にあって、なんだろ、どういう歌なんだろう、と思っていました。 ネット上で気軽に音楽が聴けるようになってから、この歌の全曲を聴いてみて、ようやくその意味するところが明らかになりました。

後続の歌詞は一番の歌詞の謎解きで、それゆえ具体的、直情的。
味わいはやはり一番の歌詞にあります。

この四行詩、各行が独立した一つの場面で、その四つを描き分ける切れ味がするどい。
一行目、二行目、三行目と、その並びに何の必然性も感じられぬ描写が不意打ちのごとくつづく。
その行間に、想像力をかきたてられます。

それが "シュール" の核心、と私は思います。

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この歌は、塩野雅子さんの歌で聴くのが好きなのですが、著作権遵守によりここに掲載できません。 他の歌手(成人の)の歌唱に聴きたいものはないので、昭和の童謡歌手、久保木幸子さんの素直で外連味のない歌唱を埋め込みます。

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 Brava !!!!!!

3'00"
"花かげ"
作詞:大村主計 (1929)
作曲:豊田義一
歌:久保木幸子

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「花かげ」


十五夜お月さま ひとりぼち
桜吹雪の 花かげに
花嫁すがたの おねえさま
くるまにゆられて ゆきました

十五夜お月さま 見てたでしょう
桜吹雪の 花かげに
花嫁すがたの ねえさまと
お別れおしんで 泣きました

十五夜お月さま ひとりぼち
桜吹雪の 花かげに
遠いお里の おねえさま
わたしはひとりに なりました


      作詞 大村主計



改訂:2019.03.01 作詞年1929追記




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