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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2015-10-09

堀 辰雄 「風立ちぬ」


中学生の頃、学校にも行かず文学全集を読み耽っていた時期があった。何を読んだかもうほとんど忘れてしまっているが、この作品には打ちのめされ、その時の強烈な印象は長い時を経た今もなお強く残っている。



細かな点は忘れているので最近改めて読んだ。

作品からの引用をふたつ。

『風立ちぬ、いざ生きめやも。』
・・・

『「……あなたはいつか自然なんぞが本当に美しいと思えるのは死んで行こうとする者の眼にだけだと仰おっしゃったことがあるでしょう。……私、あのときね、それを思い出したの。何んだかあのときの美しさがそんな風に思われて」そう言いながら、彼女は私の顔を何か訴えたいように見つめた。』
・・・

長塚節氏の「土」に、私が置かれた社会的な原点をみるとすると、この「風立ちぬ」にはもう一つの原点、私が折に触れてそこに立ち返る拠り所としての、精神面の原点になっているように思う。


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