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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

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2021-08-08

ハインリッヒ・ハイネ「星が一つ落ちる」


詩集「歌の本」より





星が一つ落ちる


星が一つ落ちる、
その輝きの高みから。
今落ちてゆくのが見えるあの星は
あれは恋の星。

林檎りんご の樹から
花や葉がたくさん落ちる。
いたずら者の風が来て
花も葉も吹き散らす。

白鳥が池で歌い
あちこちへ櫂をこぐ。
その歌も次第に弱まり、
鳥は沈む、水の墓へ。

静かだ、そして暗い。
葉も花もちりつきた。
あの星ははじけて死んだ。
白鳥の歌も絶えた。


Heinrich Heine ca.1827 Es fällt ein Stern aus Buch der Lieder
ハインリッヒ・ハイネ ca.1827「星が一つ落ちる」歌の本 より:片山敏彦 訳



出典:新譯 ハイネ詩集 片山敏彦 訳 1938 新潮社


改訂:2024.05.07 誤植訂正


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